
陽子:太郎さん、外務大臣として大変ご多忙の中、お時間をいただきありがとうございます。本日はよろしくお願いいたします。
太郎:陽子さんと私は同い年で、祖父が兄弟、つまりはとこ(従兄妹)同士になります。今日は、インタビュアーとしてまいりました。さて、陽子さんの区議会議員1期目の任期4年が終わろうとしていますが、この4年間どうでしたか?
陽子:日々勉強の4年間でした。元藤沢市議会議員であった母からの「聞けるものは全部聞いてきなさい。」とのアドバイスもあり、議会運営や行政の仕組み、慣習などを理解するため、議運、審議会、住民説明会や講演会・イベント等積極的に傍聴や参加をしてきました。また、議会では3年間で7回の一般質問する機会をいただき、委員会では議員2年目に生活福祉委員会副委員長、3年目で都市環境員会の委員長を務めました。特に人生で初めての一般質問で、目黒区では青年期・成人期の発達障害者支援がないことと、幼少期から成人期までの絶え間ない支援の必要性を訴えたことがきっかけで、建替え中の東山住区センターに、発達障害者支援拠点施設の整備を決めることができた時は、議員の責務の重さを痛感しました。
太郎:発達障害は近年増えてきていると聞いていますが。
陽子:その通りです。最近では青年期や成人期のライフステージの変わり目などに発達障害とわかる方が増えています。目黒区の発達障害者支援拠点がオープンして半年経ちましたが、成人の方の相談が多いと聞いています。
太郎:目黒区といえば今年の3月に児童虐待死事件がありましたね。法律の改正で、東京都の特別区でも児童相談所が設置できるようになりましたが、目黒区での設置はどのようになっているのでしょうか?
陽子:確かに特別区でも児童相談所の設置が可能になったので、一般質問で児童相談所設置についての目黒区の姿勢を質問してきました。今年度より児童相談所設置部署を設け、設置に向けた検討が始まりました。ただ、児童虐待に関しては、児童相談所を設置すればすべてが解決するわけではありません。児童相談所は法的拘束力のある最後の砦ですが、そこに至る前に子ども、そして家庭を救っていかなければなりません。
太郎:国も母子保健事業(妊娠・出産)と子育て支援事業の縦割りを解消し「子育て世代包括支援センター」設置を各自治体に求めています。
陽子:たとえば産後うつの早期発見は、子育て家庭が地域から孤立することを防ぐために重要です。地域の力を借りながら、妊娠期からの子育て支援策を絶え間なく、網の目のように細かく張っていくことが必要です。目黒でも早急に「子育て世代包括支援センター」を設置し安心して子育てができる環境整備を進めるべきと思っています。
太郎:一方で、これから人口の多い東京や神奈川の高齢化が始まります。これまでの地方の高齢化とは比べ物にならないほどのインパクトがあります。
陽子:団塊の世代が75歳になる2025年、人口減少が顕著となる2040年に向け、超少子高齢化はまったなしです。ここから先は、財政的にも税収増は期待できなくなっていきます。労働人口減少を見据えて行政の業務や財政の更なるスリム化を考えれば、目黒区役所でもこれから人工知能やロボットによる業務自動化などが必要になってくるはずです。
太郎:少子高齢化社会においてはコミュニティが重要になります。地方に比べ希薄な都会の人間関係の中では大変難しいことでもありますね。
陽子:2030年には4人に1人が高齢者になると予測されています。膨らみ続ける医療費、介護費用、介護の人材不足が深刻化する中、健康寿命を延ばすことの重要性が叫ばれています。最近、そのための鍵は「フレイル対策」だと言われるようになりました。フレイルとは元気な状態と要介護の状態の中間の状態をいいます。多くの高齢者が健康な状態からフレイルを経て要介護状態に至るとされているのですが、社会や地域との関わりが少ない人ほど介護の状態になるのが早いと言われています。そうだとすると地域コミュニティとしっかり関わることが健康寿命を延ばすことに繋がります。目黒区はこの「フレイル予防」の視点を取り入れた高齢化対策を備えるべきです。また、高齢者だけでなく、孤立しがちな子育て世帯にとっても地域コミュニティとのつながりはとても重要です。
太郎:我々も50代。健康管理は大切にしたいですね。一方で労働人口減少社会に向けては女性活躍も重要な課題になってきますね。
陽子:この4年間、女性として、また3人の娘の母親としての視点・価値観を大切に活動してきました。今後は女性のための起業支援や目黒に多いとされるフリーランスの女性がもっと働きやすくなるような活動をしたいと思いますし、いろいろな生き方、価値観が認められる目黒区になるよう努力していきたいと思います。
太郎:ところで、陽子さんは動物愛護にも積極的に取り組んでいますが、最近、保護犬と一緒に暮らしていますよね。
陽子:2年前に保護犬を家族として迎えました。今は保護犬の預かりボランティアとしても活動しています。ようやく日本も「殺処分ゼロ」に向けた取り組みが動き始めましたが、まだまだ課題が多いと感じています。小さな命を考えることは、「かわいそう」だけではどうにもできないことですが、殺伐とした現代社会において、動物の命を考えることは、特に子ども達には大変大事なことだと思います。
太郎:区政は一番身近な政治。それだけに目に見えることも多く、やりがいもありますね。
陽子:地方議員の先輩でもある母が同じことを言ってました(笑)
太郎:私は国を、陽子さんは目黒を、しっかりと前に進めていけるように、お互いがんばりましょう!