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児童相談所設置についての考え~区内5歳児虐待死事件を受けて~

目黒区では先週予算委員会が終了し、昨対102.5%、約950億円平成30年度予算案が無事可決しました。
今回の予算委員会では3月3日に区内で起きた5歳女児の虐待死(http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201803/CK2018030402000125.html)を受け、児童相談所設置について・・・設置を急ぐべきか否かの議論が繰り広げられました。私は、一昨年来2度に渡り児童相談所設置について一般質問していますが、ここで改めて、児童相談所設置に対する考えをお話させていただきます。

 平成28年5月、児童福祉法等の一部を改正する法律が成立し、その中で特別区である目黒区も児童相談所の開設が可能となりました。目黒区は現在「児童相談所開設準備検討委員会」を設置し、児童相談所の開設を目指していく方針です。他区の状況をみますと、既に世田谷区、荒川区、江戸川区の3区が、平成32年度の児童相談所設置を目指し、都に対し計画案を提出。この3区以外にも平成29年度予算に児童相談所の設計費や整備予定地の既存施設解体などの関連経費を計上した区もあります。増加傾向が続く児童虐待に対応するため、基礎自治体である目黒区が児童相談所を設置する意義は大きいと考えます。しかし、児童相談所の設置については、
①児童相談所設置市事務の問題=児童相談所を設置した場合には、「児童相談所設置市」が処理しなければならない事務についても対応が必要。具体的には、保育園などの児童福祉施設の設置の認可や指導検査、認可外保育施設への指導監督、児童福祉審議会の設置運営、小児慢↑生特定疾病の医療の給付、障害児入所給付費の支給、里親に関する事務など15の事務事項があります。これらの事務は、現在、東京都の本庁などで処理されていますが、これらの事務についても処理体制(人員配置・財源)を整えていかなければなりません。
②児童相談所には所長、児童福祉士、児童心理士、精神科医等、一時保護所は児童指導員、嘱託医、保育士、心理療法担当職員、等々専門的人材ならびに24時間体制で機動できる人材が必要で、その人材確保・育成が重要です。
③一時保護所を含めた施設整備や運用面の問題。例えば、非行相談の青少年と被虐待の乳幼児であったり、年頃の男女を一つの施設で対応できるのかという課題等があります。
つまり、財源をとっても、人材育成をとっても区だけでは越えなければならない高いハードルがいくつもあるのです。では

児童相談所を設置すればすべて解決するのでしょうか?


議場でも繰り返し申し上げてきましたが、児童相談所は法的拘束力を持った最後の砦であり、そこに至るまでに子ども達、そして孤立した子育て世帯を救っていくということが大原則であると考えます。それには、児童相談所の設置検討を見据えながら、児童相談所の前段階の役割を果たす、子ども家庭支援センターの充実こそが非常に重要と考えます。
現在児童相談所は都、子ども家庭支援センターは区が運営しています。子ども家庭支援センターの役割は
《18歳以下のすべての子供と家庭を対象に、子供と家庭に関するあらゆる相談に応じ、子供と家庭の問題に適切に対応し、地域の子育て支援活動を推進し、子供と家庭支援のネットワークをつくる》
とされています。つまり18歳以下のすべての子どもとその家庭のよろず相談所のようなところということですが、現在目黒区では、昨年1年間の新規案件だけで374件を7名の人員で電話相談や訪問相談を含め対応しているとのこと。とても人が足りないという印象です。もちろん人をただやみくもに増やせばいいというわけではありませんが、子ども家庭支援センターの役割の重要性を考えると、児童心理士や児童福祉士等の専門職を含めた人員配置を含めて再検討し 一つ一つの案件にさらに丁寧に対応できるようにするべきと考えます。
 また、今後児童相談設置を目指す中で、区は新たに児童心理士の配置等人材の育成を考えているわけですが、人材の確保、育成はもちろん、やはり区内の子育て関連施設、そしてそこに関わる様々な関係者とのネットワークの構築をさらにすすめていく。網の目をさらに細かくすることで、より細かい情報の収集、問題の吸い上げや、対応や支援が可能になると考え、子ども家庭支援センターを中心としたネットワークの充実も必要です。
児童相談所の設置は検討しつつ、子ども家庭支援センターの更なる充実をはかる。これこそが、子どもの心を命を守るために必要な方策と考えます。

そして、もう1点。
実は、日本の児童虐待死の6割が0歳0ヶ月0日児とされています。今回区内での事件が報じられた同じ日に、荒川ではへその緒のついたままの乳児の遺体、そして神奈川県ではスーツケースに遺棄された乳児の遺体が発見されています。そして記憶に新しいところでは一昨年の夏、区内すずめのお宿公園でやはりへその緒のついた乳児が発見され、一命を取り止めたという事件もありました。この0歳0ヶ月0日児の虐待死の背景には望まない妊娠があるとされています。区の様々な妊娠・出産・子育て等の相談窓口にたどり着くことができない女性がいて、こういった行動に出るケースが多々あることを考えると、子ども家庭支援センター・そして母子保健の所管のさらなる連携が必要と考えます。さらに言えば、妊娠・出産・子育てを家庭のみに任せるのではなく、生活している地域で様々な関係機関や人が支援し、孤立を防ぐことが重要とされる中、望まない妊娠に対しても、どうやって孤立し悩んでいる人とつながれるのか。また、そういった悩みを生まないためにも、そういう状況になる前。幼少期からの命の大切さの教育、学齢期の性教育も重要なのです。妊娠したら、出産したら、相談してくださいね。虐待してはだめですよ。ではなく、幼少期からの切れ目のない働きかけの中で自然に命について、自分の体について、相談することの重要性について培っていくことが大切なのではないでしょうか?。
子どもの心と命、孤立した家族のために何ができるのか。今回の事件で亡くなったお子さんの「命」を無駄にしたいためにも、区を挙げて仕組み作りをしていくべきと考えます。
親子

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